VOXの歴史

VOX Amplificationの伝説的サウンド、その源流は1957年、イングランドのJMI Corporationに若きアンプ設計者Dick Denneyが入社したことに始まります。1950年代、当時急速にエレクトリック・ギターが世界を席巻しつつあり、Dick自身もギタリストでした。また、JMIのスタッフとともに多くのギタリストから要望の多かったよりラウドで長いサスティンが得られるアンプ作りに燃えていました。

1958年1月、その成果がいよいよ世に登場することになります。この、AC1/15と命名されたアンプは、その後60年近く経た現在にまで続くVOXのブランド名をギター・アンプに冠した最初期のモデルでした。AC1/15はほどなくAC15と略されるようになり、AC15を使用した「ジェイムズ・ボンドのテーマ」で広く知られるVic Flickをはじめとするロンドンのトップ・ギタリスト達に瞬く間に愛用されるようになりました。

1960年の春に勃興したロックンロールの勢いを受けて、Dick DenneyとVOXスタッフは、ロンドンのバンドがよりパワフルなアンプを求めていることをすぐに察知し、それに取り掛かることにしました。この時点でDenneyが決めたことは、新たにアンプを設計し直すことよりも、既に愛用者が多かったAC15で採用した技術をベースにパワーを倍にすることでした。これを実現するため、アンプの容積を拡大し、スピーカーをもう1つ増設してAC30/4 Twinと命名されました。12インチCelestionスピーカーを2発搭載し、2チャンネル(NormalとVibrato)4インプット仕様、30W出力のAC30/4 Twinは、ロンドンのロックンローラーの間でヒットし、VOXの名は英国で人気トップのブランドとして急速に広まりました。

1962年7月、リバプール出身の威勢の良い若者たちがVOX最初期のアンプであるAC15 Twin、トップ・ブースト搭載のAC30 Twinを手にしました。後年このグループはこの2台のアンプで「Love Me Do」という曲のレコーディングをし、ポップスの世界を永遠に塗り替えることになります。当時では考えられなかったその忘れ難いサウンドは、のちのギター・トーンのスタンダードとなり、この1曲とその後数ヶ月に始まる熱狂の渦は、VOXを世界的なギター・アンプ・ブランドに押し上げることになりました。 1960年代のまさに驚異的な成功を収めたVOXは、そこで培ったものをベースにその後60年近く経った現在も成長を続けています。数多くのVOXアンプが、世界中のアーティストのサウンドを現在も支えています。AC4やAC15、AC30の各アンプは現在でもそのクラシックなサウンドを求める無数のギタリスト達から今も高い人気を集めています。

Dick Denneyが1950年代に打ち立てたアンプ技術の伝統と並行して、VOX AmplificationではValvetronix+やNight Train G2シリーズなど最新技術により類を見ないサウンド面での柔軟性を実現した製品でも高い評価を得ています。全段チューブ構成による伝統的な設計と、洗練されたモデリング・テクノロジーの両面により、あらゆるギタリストのニーズに合ったギター・アンプ、それがVOX Amplificationの製品ラインナップなのです。 VOXアンプが放ったサウンド、ポップスの世界に打ち込まれたインパクトは現在にも響き渡っています。世界中のトップ・アーティストが今もVOXアンプを世界的なレコーディング・スタジオやステージで使い続けています。ぜひVOXで、ご自身のトーンを見付け出してください。